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2011年10月 8日 (土)

絞っていく時期

先日、親友と電話で話した。彼女とは、親友でありながら年にいくらも話さない。一度も話さない年もあるし、数回も話せば多いほうだ。メールのやりとりも用がある時のみに限られる。変わり者の彼女とは、さばさばした付き合いだが中高時代を共にした一番の親友だ。

用件が終わって雑談になり、話題は方々へ飛んだが、このような話になった。人生を何段階かに分けたなら、そろそろ最終段階に近づいている。私の場合、いよいよ本当にラスト10年か、それより短いかもしれないと思う、そろそろ一番したいことを絞っていくべき時期に入っていると話してみた。たいていの人はこのようなことを言うと、まだまだ頑張れだとか、元気な自分の方こそ先に逝くかもしれないと、ありきたりのつまらないことを言って愛想笑いなどする。そういう人とは絶対に親しくなれない。こちらが病気もちで真面目な話をしようとするのをきちんと受け止められない人だからだ。だが、彼女は違った。そうやなぁ。それはそうやと思う。そういう時期やなぁ。とだけ言った。彼女もまた健常な身体ではないのだ。健常な者にはない焦りは、よい意味できちんと先を見据えて生きる動機になっている。健康でも病弱でも、そろそろ最後に何をするのかを決める時期に入っているということで意見は一致した。

いつも書いているように、私にはしたいことがいくつもある。それらをベッドの上で考えていると、不思議なことにどれも実現できるような気がしてくる。たとえば一番したいことは、私が最も自信のある中高生の学習指導だが、それは人生の半分ほどを仕事として費やしたプロとしての誇りや自信とともに厳然と私の中に今もある。それを被災地で活かせたらと願っているのだ。学校の教師のように総合的な指導はできないが、塾の講師は確実に学習を理解させ、学力向上へと導くことを旨とする。もちろん生徒に愛情をもち、学習が面白く楽しく思わせる指導をしなければならない。私はとくに学力の低い生徒を伸ばすことに力を注ぎ、大いに遣り甲斐を感じてきた。被災地では震災後の教育現場が以前とは大きく異なるようだ。学校が流されたり今なお避難所になっているところもある。統廃合されているところもあるだろうし、別の学校に遠くまで通っている生徒も多いことだろう。そんな状況で、生徒の学力差が大きくひらいていることが危惧される。支援サイトで知った塾の先生によると、高額の教材を売りつける悪徳業者も出没するという。そんなことを知ると、居ても立ってもいられなくなる。すぐにでも飛んでいき、私が作成した教材で教えてあげたい気持ちになる。

けれども私は病気もちだ。持病をもって以来、口惜しいと思ったことは数えきれないが、この度の震災でも感じずにいられなかった。もしも健康体であったなら、今頃もう現地で学習指導のボランティアとして活動しているだろう。人生の終わり近くでなすべきことを絞るとしたら、すべてを投げうってもそれに専念したいと思っているが、如何せん私の身体がそれを許さない。現実的に考えると体力的に無理だと分かるのだが、このことに対する熱意と願望は消えない。健康であれば絞った結果、これしかない。けれども私は病気もちだ。これはあきらめなければならないのか。人のサポートがあれば何とか可能なのか。まだ夢は捨てていない。というのも学校の勉強ばかりがすべてではないということは分かっている半面、学力不足が原因でさまざまな問題を抱える子どもたちが全国に居ることは事実だからだ。学力がその子の将来や生き方を左右することは否めない。

この大切なことに再び関われたら無上の喜びだが、私の希望に耳を傾けてくれる人の大部分は、どうせ無理だと分かっているのか、ただ頷いて微笑んでくれる。では、一番したいそのことができないのなら、最後に生きる形とはどんなものなのか。霧に包まれて答がまったく見えてこない。絞りたい。絞れない。体力がなくて出来ないことだらけの病弱な者には、背の高いハードルが目の前に立ちはだかり、越えることができない現実がある。したがって何をするべきか未だ絞ることができないのだ。病気であることはやはり口惜しい。人のためになりたいのに出来ないのは、まことに地団太を踏むような口惜しさがある。

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