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2006年8月 6日 (日)

被爆61年目の夏

        絵本           
                    峠 三吉
   
     たたかいの手に 傷つけられた
    瀕死の母親に見せる その子の絵本

     たたかいの格子窓から 一筋の夕日が
    負傷者収容所の 冷たい床に落ちてとどまる

     火ぶくれの貌(かお)のうえに ひろげ持ち
    ゆっくりと繰ってやる 赤や青の幼い絵
    古いなじみの お伽ばなし

     カチカチ山の狸のやけどに 眼をむけた
    隣のおとこの呻きも いつか絶え
    ぼんやりと凝視(みつめ)ていた 母親のめに
    ものどおい 瞼がたれ

     苦痛も怨みも 子につながる希(ねが)いさえ
    訴えぬまま 糞尿の異臭のなかに
    死んでゆく
    しんでゆく

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