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2008年11月 7日 (金)

協調の原則

昨夜、勉強していると、テキストにこんなことが書かれていました。それは「会話の含意」という章の中にあるもので、グライスという学者による理論です。グライスは会話による含意を説明するために、協調の原則と4種類の会話の公理というのを定めました。協調の原則を彼は以下のように言っています。

「あなたが参加している会話で、その場にいる誰もがこの会話では当然のこととして認めている方向や目的にそむかないよう場面場面で協力せよ。」

そのテキストを書いた先生は、私たちが日常生活のどんな場面においても常に共通の了解事項に基いて行動する。たとえば車を運転するとき、他の人も同じ規則に従って行動しているだろうという前提のもとに運転をする。そういう前提が成り立たなければ、交通システムは機能しなくなってしまうという例を挙げて説明しています。

会話についても同じです。一つの共同体の中で、人は共通の基準に従って振舞うのであり、そうすることで会話はおおむねうまくいく。だが、たとえば相手が幼児や酔漢であれば、社会の基準を満たさない場合もある。また、別の文化圏に属する外国人などであれば、違った基準に従って話すかもしれない。その場合はそれが予測できるとあります。

協調の原則を提案したグライスはまた、以下の4種類の会話の公理を提唱した。それは量・質・関係・様式である。

1.量(quantity)の公理:必要とされている情報をすべて与えよ。必要以上の情報は与えるな。
2.質(quality)の公理:真実ではないと思っていることは言うな。充分な証拠がないことは言うな。
3.関係(relation)の公理:的外れなことは言うな。
4.様式(mannerrs)の公理:不明確な表現は避けよ。あいまいな言い方は避けよ。簡潔に言え。よく整理した話し方をせよ。

ふむふむ。KYサンではいけないわけですな。文章を書く上でも同じことがいえます。勉強になります。近頃の若い人に、(若くなくても)話すのが苦手という人がふえています。これは話す訓練をする機会をあまり持たなかったせいだと思われます。そうですね、テレビだとかゲームだとか、それから受身で聞くばかりの学習などのために。会話はキャッチボールだとはよく言われることですが、相手が投げているのに受け留めようとしなければ、ボールは転がってどこかへ行きます。また、相手が取れないような投げ方をしても受け留められません。会話も同じです。相手を思い遣りながら、言葉のやり取りをするのです。それがつまり協調の原則でしょう。

そういった訓練が出来ていない人は、自分の鬱屈した気持ちを表現するのが苦手で、いわゆるキレたり、また会話の暗黙のルールを身につけていない人は人との円滑な関係を築くことが不得手です。そう考えると、言葉は大切ですね。「三つ子の魂 百まで」と言われますが、「三つ子の言葉 百まで」も言えるんじゃないでしょうか。言葉=思考です。言葉でものを考え、言葉で人と関わります。現代の荒廃した社会は、言葉を軽視したり、ぞんざいに扱うようになってしまった結果という側面があることは否定できませんね。

隠遁生活になってしまった私には大きなことは言えませんが、家庭での言葉教育、社会においての言葉でのコミュニケーション。それが基本ではないかと思います。子供たちの心の荒廃、それはまず、大人の言葉の乱れや心の荒廃を何とかしないかぎり改善はないでしょう。

テキストからとんでもなく飛躍してしまいましたが、英文法を学んでいるはずが、英語だけではなく、こうして様々なことを学びます。それがまた学びの楽しさです。今日はシーズン初のひとり鍋を食べていると、ザーッ!と雨の音。すぐにやんだようです。週末ですね。それでは皆さん、ごきげんよう。

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