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2009年6月17日 (水)

アナベル・リー (和訳)

   「アナベル・リー」

      エドガー・アラン・ポー作  右近 訳

   

   昔むかしのことだった

     海のほとりにある王国に

   ひとりの乙女が住んでいた

     誰もが知ってるアナベル・リーという乙女

   ただひとつのことしか彼女にはなく

     それはぼくを愛して愛されること

   

彼女もぼくもまだ子どもで

     海のほとりにある王国で

   けれども愛より大きな愛でもって愛し合い

     ぼくとアナベル・リーは愛し合い

   翼をつけた天上に棲む天使たちが

     羨むほどにぼくらは愛し合い

   

それゆえその昔

     海のほとりにある王国で

   夜に雲間から風が吹き

     ぼくのアナベル・リーを凍えさせた

   それから高貴な生まれの親族とやらがやって来て

     ぼくから彼女を奪い去り

   お墓のなかに閉じ込めた

     海のほとりにあるお墓

   

天使たちは天上界でちっとも幸せでなく

     ぼくらのことを妬んだのだ

   そうさ!それゆえに(海のほとりの王国の

     誰もが知っているように)

   雲間から風が吹きすさんで凍えさせ

     ぼくのアナベル・リーを死なせたのだ

   けれどもぼくらの愛の方がはるかに強く

     ぼくらよりも年を重ねた人たちの愛よりも

     ぼくらよりも思慮の深い人たちの愛よりも

   それに天上に棲む天使たちや

     海の底に棲む悪霊たちも

   ぼくの魂を引き離すことなどできやしない

     アナベル・リーの魂から

   

なぜなら月の光が射す夜には夢をみる

     美しいアナベル・リーの夢をみる

   そして星がきらめくたびにぼくは思う

     あれは美しいアナベル・リーの瞳だと

   だからこの身を横たえて夜もすがら

   美しい人 ぼくの命 ぼくの花嫁のかたわらに

     海のほとりのお墓のなか

     海のほとりにある彼女のお墓のかたわらで

     

 

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